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鉄骨造の柱脚とは?3つの形式「露出型・埋込み型・根巻き型」の特徴とメリットをわかりやすく解説

作成日:2026.08.25 更新日:2026.08.25

鉄骨造の柱脚とは?3つの形式「露出型・埋込み型・根巻き型」の特徴とメリットをわかりやすく解説

鉄骨造の建物を支えるうえで、重要な役割を担っているのが「柱脚(ちゅうきゃく)」です。

柱脚とは、その名のとおり鉄骨柱の足元部分のこと。

柱にかかる建物の重さや地震・風などによる力を基礎へ伝える重要な部分であり、建物全体の安全性にも大きく関係します。

鉄骨造の柱脚には、大きく分けて次の3つの形式があります。

  • 露出型

  • 埋込み型

  • 根巻き型

どの形式にも特徴があり、建物の規模や構造、施工性、コスト、意匠などを考えながら適した形式を選ぶことが大切です。

今回は、鉄骨造で使われる3つの柱脚形式について、それぞれの特徴やメリット・注意点をわかりやすく解説します。

柱脚とは?

柱脚とは、鉄骨柱と基礎をつなぐ部分です。

鉄骨造の建物では、屋根や床、梁などから伝わってくる荷重を柱が受け、その力を柱脚から基礎へ、さらに地盤へと伝えていきます。

また、地震や強風などによって建物に横方向の力が加わったときには、柱脚に「曲げ」「せん断」「引張」「圧縮」など、さまざまな力が作用します。

そのため柱脚は、単に鉄骨柱を基礎の上に載せて固定するだけの部分ではありません。

上部の鉄骨と下部の基礎をつなぎ、建物にかかる力を安全に伝える重要な接合部なのです。

柱脚の固定の仕方によって、建物全体の変形のしやすさや柱・梁に作用する力も変わるため、建物に適した柱脚形式を選ぶ必要があります。

柱脚には3つの形式がある

鉄骨造で使用される代表的な柱脚は、「露出型」「埋込み型」「根巻き型」の3種類です。

簡単に違いを整理すると、露出型は、柱脚を基礎の上に設置する形式。

埋込み型は、鉄骨柱そのものを基礎コンクリートの中へ埋め込む形式。

根巻き型は、柱脚の周囲を鉄筋コンクリートで包み込む形式です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

露出型柱脚

露出型とは?

3つの形式の中でも、現在広く採用されているのが「露出型柱脚」です。

露出型では、鉄骨柱の下部に取り付けたベースプレートを基礎コンクリートの上に設置し、アンカーボルトによって基礎と固定します。

柱脚部分がコンクリートの中に完全に埋め込まれていないため、「露出型」と呼ばれています。

基礎と柱の接合部分が目で確認しやすく、力がどのように伝わるのか比較的わかりやすいことも特徴です。

露出型のメリット

露出型の大きなメリットは、施工しやすく、設計方法も比較的わかりやすいことです。

柱脚部分の納まりを確認しやすく、アンカーボルトやベースプレートの施工状況も確認できます。

また、現在はメーカーによる既製品の露出柱脚も多く使用されています。

既製品では柱脚として必要な性能があらかじめ確認されているため、安定した品質を確保しやすく、施工精度を高めやすいというメリットがあります。

工場や倉庫、事務所などをはじめ、中小規模の鉄骨造建築物でも幅広く採用されています。

露出型の注意点

露出型は、埋込み型などと比較すると柱脚部分の回転剛性が小さく、建物全体としては比較的「柔らかい」構造になります。

また、ベースプレートやアンカーボルトなどが柱の足元に配置されるため、建物の用途や仕上げによっては、意匠上の納まりを考える必要があります。

設備配管や壁、床などとの取り合いについても、設計段階から確認しておくことが重要です。

埋込み型柱脚

埋込み型とは?

「埋込み型」は、鉄骨柱の下部を基礎コンクリートの中まで埋め込んで固定する柱脚形式です。

鉄骨柱そのものを基礎へ深く埋め込むため、柱脚の固定度を高くすることができます。

3つの柱脚形式の中でも、非常に高い剛性を確保しやすい形式です。

埋込み型のメリット

埋込み型の大きな特徴は、柱脚をしっかり固定できることです。

柱脚の回転を抑えることで建物全体の変形を小さくしやすく、上部構造の鉄骨部材を合理的に設計できる場合があります。

また、ベースプレートやアンカーボルトなどが床面に大きく露出しないため、柱の足元をすっきり見せやすいこともメリットです。

意匠性を重視する建物では、こうした納まりが大きな利点になります。

さらに、条件によっては柱や梁などの上部鉄骨部材の断面を小さくできる可能性もあります。

埋込み型の注意点

埋込み型では、鉄骨柱と基礎梁の鉄筋が同じ場所に集中します。

そのため、

「鉄骨柱と鉄筋が干渉していないか」

「必要なコンクリートのかぶり厚さを確保できているか」

などを設計段階で十分に検討する必要があります。

場合によっては基礎梁に水平ハンチなどを設け、鉄筋と鉄骨柱の納まりを調整します。

また、施工方法によってはコンクリート打設の工程が増え、露出型より工期が長くなることもあります。

構造だけでなく、設備配管や基礎形状まで含めた総合的な検討が必要な柱脚形式です。

根巻き型柱脚

根巻き型とは?

「根巻き型」は、露出型と埋込み型の中間的な特徴を持つ柱脚です。

鉄骨柱を基礎の上に設置したあと、その柱脚部分の周囲を鉄筋コンクリートで包み込むように施工します。

この柱の足元を覆うコンクリート部分を「根巻きコンクリート」と呼びます。

埋込み型のように鉄骨柱を基礎そのものの内部へ埋め込むのではなく、基礎上部に別途鉄筋コンクリート部分をつくる点が特徴です。

根巻き型のメリット

根巻き型では、柱脚の周囲を鉄筋コンクリートで補強するため、露出型よりも高い回転剛性を確保できます。

柱脚部分の剛性が高くなることで、建物の変形を抑えやすくなり、上部構造に作用する力を調整できる場合があります。

その結果、条件によっては柱や梁などの鉄骨部材を合理的な大きさにすることができます。

根巻き型の注意点

一方、根巻き型は、露出型や埋込み型に比べて力の伝わり方や構造上の納まりが複雑です。

また、柱の周囲に根巻きコンクリートを施工するため、柱脚部分が大きくなりやすいという特徴があります。

特に中小規模の建物では、柱周辺のスペースを大きく占有してしまうため、建物の使い勝手や意匠に影響する可能性があります。

こうした理由から、現在の中小規模鉄骨建築では、露出型や埋込み型と比較すると採用されるケースは多くありません。

3つの柱脚形式を比較すると?

3つの形式を簡単に比較すると、次のような特徴があります。

露出型

特徴:施工しやすく、幅広い建物に採用されている

メリットは、構造がわかりやすく、施工性が高いことです。

一方、埋込み型などと比べると柱脚の回転剛性は小さくなります。

埋込み型

特徴:柱脚を強く固定でき、足元もすっきりしやすい

柱脚の固定度が高く、建物の変形を抑えやすいことがメリットです。

一方で、鉄筋との干渉などを考慮した詳細な設計・施工計画が必要になります。

根巻き型

特徴:露出型と埋込み型の中間的な柱脚

露出型より高い剛性を持たせることができますが、柱周囲の根巻きコンクリートが大きくなり、構造や施工も複雑になります。

中小規模建築では「露出型」と「埋込み型」が中心

現在、中小規模の鉄骨造建築では、主に露出型柱脚または埋込み型柱脚が使用されています。

根巻き型は十分な剛性を確保できる一方で、根巻きコンクリートによって柱脚周辺が大きくなりやすいため、中小規模の建物では使いにくい場合があります。

その点、露出型は施工性に優れ、多くの建物で採用しやすい形式です。

一方、埋込み型には、柱脚部分をすっきり納められるという意匠上のメリットがあります。

建物の用途や必要な構造性能だけでなく、施工性・工期・コスト・設備・意匠まで含めて最適な形式を選ぶことが重要です。

露出柱脚では「既製品」も多く使われている

現在の鉄骨造建築では、メーカーが開発した露出柱脚の既製品も数多く使用されています。

代表的なものとして、ベースパックなどの柱脚工法があります。

既製品柱脚は、メーカーによって構造性能や設計方法、施工方法などが定められているため、品質を安定させやすいことが特徴です。

また、現場での柱位置やアンカーボルト位置の精度を確保しやすくなるなど、施工面にもメリットがあります。

ただし、メーカーや製品によって、

  • ベースプレートの寸法

  • アンカーボルトの長さ

  • 基礎柱形の寸法

  • 必要なコンクリート寸法

などが異なります。

そのため、設計途中や施工途中で別メーカーの柱脚へ変更する場合には、単純に製品だけを交換するのではなく、構造設計者による確認が必要です。

露出柱脚は完全な「固定」でも「ピン」でもない

柱と基礎の接合方法を説明するとき、「固定柱脚」「ピン柱脚」という言葉を聞くことがあります。

固定に近い柱脚は、柱脚部分の回転を抑え、曲げモーメントを基礎へ伝えます。

一方、ピンに近い柱脚では、柱脚が回転しやすくなり、主に軸力やせん断力などを基礎へ伝える考え方になります。

しかし実際の露出柱脚は、完全な固定でも完全なピンでもありません。

アンカーボルトやベースプレート、基礎コンクリートなどが変形するため、一定の回転が生じます。

そのため現在では、柱脚の回転剛性を考慮した設計が行われます。

つまり露出柱脚では、「固定に近いもの」から「ピンに近いもの」まで、必要な構造性能に応じて設計するという考え方が重要になります。

柱脚は構造だけでなく「納まり」も重要

柱脚は構造設計者が設計する部分ですが、構造性能だけを考えればよいわけではありません。

ベースプレートや基礎柱形が大きくなれば、壁や床、建具、設備配管などとの取り合いにも影響します。

また、埋込み型で基礎梁にハンチを設ければ、その周辺に配管を通せない場合もあります。

そのため設計段階から、構造・意匠・設備・施工の各担当者が柱脚周辺の寸法を共有しておくことが重要です。

柱脚は完成すると床や仕上げの中に隠れてしまうことも多い部分ですが、建物全体を支える非常に重要な場所です。

まとめ|柱脚の特徴を理解して建物に合った形式を選ぼう

鉄骨造の柱脚には、大きく分けて、「露出型」「埋込み型」「根巻き型」の3つの形式があります。

最も一般的な露出型は、施工しやすく、設計方法も比較的わかりやすいため、多くの鉄骨造建築物で採用されています。

埋込み型は、柱脚の固定度を高くでき、柱の足元をすっきり納めやすいことが特徴です。

根巻き型は、露出型より高い剛性を持たせることができますが、柱脚周辺が大きくなりやすく、構造や施工も複雑になります。

どの柱脚形式が一番優れているというわけではありません。

建物の規模や用途、必要な耐震性能、施工方法、工期、コスト、そしてデザインなどを総合的に検討し、その建物に適した柱脚を選ぶことが重要です。

普段はあまり目立たない柱の足元ですが、柱脚は鉄骨造の安全性を支える重要な部分です。

鉄骨造の工場・倉庫・事務所などを計画する際には、柱や梁だけでなく、その力を基礎へ伝える「柱脚」にもぜひ注目してみてください。

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