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1つの敷地に建てられる建物は1つ?「用途上可分・不可分」を解説

作成日:2026.07.23 更新日:2026.07.23

1つの敷地に建てられる建物は1つ?「用途上可分・不可分」を解説

建物を新築したり、既存の建物がある土地に別棟を増築したりする場合、「同じ土地なのだから、複数の建物を自由に建てられる」と考える方もいるかもしれません。

しかし、建築基準法では、原則として一つの敷地に一つの建築物を建てるという考え方があります。一般に「一敷地一建築物の原則」と呼ばれるものです。

ただし、建築物同士が「用途上不可分」の関係にある場合は、一つの敷地内に二つ以上の建築物を建てることができます。

工場と事務所、住宅と車庫、学校の校舎と体育館など、複数の建築物を計画する場合には、それぞれの建築物が用途上可分なのか、用途上不可分なのかを事前に確認することが重要です。

今回は、一敷地一建築物の原則をはじめ、用途上可分・不可分の違い、建物用途ごとの具体例、敷地面積の算定方法についてわかりやすく解説します。

建築基準法における「敷地」とは?

建築基準法施行令では、敷地について次のように定義されています。

「一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地」

つまり、建築基準法上の敷地とは、単に登記簿上の一筆の土地や、同じ所有者が持っている土地を意味するものではありません。

一つの建築物、または用途上切り離すことのできない複数の建築物が建つ、一まとまりの土地を指します。

そのため、登記上は複数の筆に分かれていても、建築計画上、一体として利用される土地であれば一つの敷地として扱われることがあります。

反対に、同じ所有者が所有する土地であっても、建築基準法上の道路などによって分断されている場合は、原則として一つの連続した敷地として扱うことはできません。

敷地の判断では、土地の所有者や登記上の筆数だけでなく、土地の連続性、建築物の用途、利用方法、管理形態などを総合的に確認する必要があります。

一つの敷地には一つの建築物が原則

建築基準法上、一つの敷地には一つの建築物を建てることが基本です。

例えば、一つの土地に、それぞれ独立して生活できる戸建て住宅を二棟建築する場合、通常は住宅ごとに敷地を分けなければなりません。

敷地を二つに分けると、それぞれの敷地について接道義務、建ぺい率、容積率、高さ制限などを確認する必要があります。

特に接道については、都市計画区域や準都市計画区域内では、原則として、それぞれの敷地が建築基準法上の道路に一定以上接していなければなりません。

土地全体では道路に接していても、敷地を分割した結果、奥側の敷地が道路に接しなくなる場合には、そのままでは建築できない可能性があります。

そのため、広い土地に複数の建物を計画するときは、建物の配置だけでなく、敷地の分け方や接道条件も含めて検討することが重要です。

用途上不可分とは?

用途上不可分とは、複数の建築物が機能上密接に関係し、切り離すと本来の用途や目的を十分に果たせなくなる関係をいいます。

分かりやすくいえば、主要な建築物と、その用途を支える附属建築物との関係です。

例えば、住宅の母屋と、その居住者が利用する車庫や物置は、一般的には住宅に附属する建築物と考えられます。

車庫や物置は、それ自体が独立した主要用途の建物ではなく、母屋の生活機能を補完するものだからです。

このような場合、母屋と車庫、物置などは用途上不可分と判断され、一つの敷地内に複数棟を建築できることがあります。

ただし、建物の名称だけで用途上不可分になるわけではありません。規模、設備、利用者、管理者、利用実態、動線などによって判断が変わります。

例えば「離れ」と呼ばれていても、台所、浴室、便所、玄関などが設けられ、単独で住宅として生活できる状態であれば、母屋とは別の独立した住宅、つまり用途上可分と判断される可能性があります。

用途上可分とは?

用途上可分とは、それぞれの建築物が独立した用途や機能を持ち、一方を切り離しても、もう一方が単独で本来の目的を果たせる関係をいいます。

例えば、工場と従業員寮が同じ土地に計画されている場合、一般的には用途上可分と判断されます。

工場は製造や加工を行う建築物であり、寮は従業員が生活する建築物です。

工場がなくても寮として利用でき、寮がなくても工場は操業できるため、それぞれが独立した機能を持っていると考えられるからです。

一方、工場と工場の生産管理を行う事務所、製品や原材料を保管する倉庫、工場設備のための機械室などは、一体的な事業活動に必要な建物として、用途上不可分と判断されることがあります。

ただし、工場と事務所であれば必ず用途上不可分になるわけではありません。

事務所の規模が大きく、工場とは別の会社が使用している場合や、工場とは関係のない独立した営業活動が行われている場合などは、用途上可分と判断される可能性があります。

用途上可分・不可分は建物の名称だけではなく、実際の利用関係によって判断されます。自治体の取扱基準でも、建築物の用途面における機能上の関連性や、主要用途の建築物と附属建築物との関係から判断する考え方が示されています。

用途上不可分となり得る建築物の例

ここからは、用途ごとの一般的な例をご紹介します。

ただし、次の建物であれば必ず用途上不可分になるというものではありません。実際の計画内容によって個別に判断されます。

「住宅」の場合

住宅の母屋に附属する次のような建物は、用途上不可分と判断されることがあります。

・車庫
・自転車置場
・物置
・納屋
・倉
・茶室
・あずまや
・住宅設備のための機械室
・離れ

特に離れについては、単独で一戸の住宅として生活できる設備が備わっているかどうかが重要です。

台所、浴室、便所などがすべて設けられ、独立した生活が可能な場合は、母屋とは用途上可分と判断される可能性があります。

自治体によって離れの取扱基準が定められていることもあるため、事前確認が必要です。

「共同住宅・マンション・アパート」の場合

共同住宅に附属する次のような建物は、用途上不可分と判断されることがあります。

・駐車場や車庫
・自転車置場
・ごみ置場
・プロパンガス置場
・ガス設備室
・変電室
・受水槽やポンプ室
・集会所
・管理事務所
・その他、共同住宅の維持管理に必要な施設

なお、同じ敷地内に共同住宅が複数棟ある場合の判断は、計画内容によって異なります。

各棟が独立した共同住宅として機能する場合は用途上可分と判断される可能性がありますが、共通の管理施設や設備、通路、駐車場などを一体的に利用する団地型の計画では、全体の管理・利用関係を踏まえて判断されます。

したがって、「共同住宅は複数棟であれば必ず用途上可分」または「必ず用途上不可分」と一律には判断できません。

「旅館・ホテル」の場合

旅館やホテルの本館に附属する次のような施設は、用途上不可分となることがあります。

・離れ形式の客室棟
・浴室棟や大浴場
・宴会場
・厨房棟
・倉庫
・車庫
・機械室
・あずまや
・宿泊者向けの附属施設

ただし、別棟の建物が一般客も利用できる独立した飲食店や店舗として営業する場合は、用途上可分と判断されることがあります。

「学校・校舎」の場合

学校の校舎と一体的に利用される次のような建築物は、用途上不可分となることがあります。

・体育館
・図書館
・実習棟
・特別教室棟
・給食室や給食調理棟
・更衣室棟
・部室
・倉庫
・機械室
・管理棟

これらは学校教育や学校運営のために使用され、利用者や管理者も共通しているため、校舎との附属関係が認められやすい建築物です。

「工場・作業場」の場合

工場や作業場に附属する次のような建築物は、用途上不可分となることがあります。

・事務所棟
・製品倉庫
・原材料倉庫
・機械室
・電気室や変電室
・更衣室棟
・休憩室
・食堂棟
・守衛室
・危険物貯蔵庫
・検査室
・研究室
・福利厚生施設

工場の場合は、それぞれの建物が同じ製造工程や事業活動のために使用されているかが重要です。

例えば、製造工場と、その製品を保管する倉庫は一体的な利用関係が認められやすいと考えられます。

一方、同じ敷地内に建っていても、第三者に賃貸する倉庫や、工場とは関係のない事務所などは、用途上可分と判断される可能性があります。

用途上可分の建築物を同じ区域で計画する方法

用途上可分の建築物は、原則としてそれぞれ別の敷地に設定し、各敷地が接道、建ぺい率、容積率などの基準を満たす必要があります。

ただし、建築基準法第86条に基づく一団地認定制度や連担建築物設計制度を利用できる場合には、複数の敷地や用途上可分の複数建築物について、一定の区域を一つの敷地とみなして、一体的に建築基準法の規定を適用できることがあります。

この制度では、建築物の位置や構造、通路、空地などについて、安全上、防火上、衛生上の支障がないことなどが求められます。単に所有者が同じであるという理由だけで適用される制度ではなく、特定行政庁の認定や許可が必要です。

敷地面積は水平投影面積で算定する

敷地面積は、敷地を真上から水平面に投影した面積によって算定します。

そのため、傾斜地や高低差のある土地でも、斜面に沿った実際の表面積ではなく、水平に投影した面積が敷地面積となります。

ただし、土地のすべてを敷地面積に算入できるとは限りません。

建築基準法第42条第2項に規定される、いわゆる「2項道路」に接している敷地では、原則として道路中心線から水平距離2メートルの位置まで後退する必要があります。

特定行政庁が指定する区域では、道路中心線から3メートルの後退が必要となる場合もあります。後退した部分は道路とみなされるため、建築物や門、塀を設置できず、原則として建築敷地の面積にも算入できません。

また、位置指定道路や都市計画法に基づく開発許可によって道路の一部として設けられた隅切り部分は、通常、建築基準法上の道路として扱われるため、敷地面積に算入できません。

ただし、隅切り状の部分であっても、建築基準法上の道路として指定または帰属していない場合などは、敷地面積に算入できる可能性があります。

道路後退部分や隅切り部分の扱いは、道路の種別、指定状況、開発許可の内容によって異なるため、道路台帳や指定図などを確認することが大切です。

まとめ

建築基準法上の敷地は、「一つの建築物」または「用途上不可分の関係にある二つ以上の建築物」が建つ一団の土地をいいます。

そのため、一つの敷地に複数の建物を建てる場合は、それぞれの建物が主要建築物と附属建築物の関係にあり、一体的な用途や機能を持っているかを確認しなければなりません。

住宅と車庫、学校と体育館、工場と製品倉庫などは用途上不可分となる可能性があります。

一方、二棟の独立した住宅、工場と独立した従業員寮、第三者に賃貸する事務所や倉庫などは、用途上可分と判断される可能性があります。

ただし、用途上可分・不可分の判断は、建物の名称だけで決まるものではありません。

建物の設備、規模、利用者、管理者、利用目的、相互の動線などを踏まえて個別に判断されます。

また、敷地面積を検討するときは、水平投影面積だけでなく、2項道路の後退部分や道路として扱われる隅切り部分が含まれていないかについても注意が必要です。

複数棟の工場、倉庫、事務所などを計画するときは、計画を進めた後に敷地分割や配置変更が必要になることを防ぐため、早い段階で設計者や建設会社、計画地を管轄する特定行政庁へ相談することが重要です。

※用途上可分・不可分の判断や離れ、附属建築物などの取扱いは、自治体の取扱基準や具体的な建築計画によって異なる場合があります。

実際の計画では、計画地を管轄する行政庁または指定確認検査機関に事前にご確認ください。

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