建築面積の定義とは?4つの面積と算定のポイントをわかりやすく解説

建物を計画するときには、「建築面積」「床面積」「延べ面積」など、さまざまな面積が使われます。
言葉がよく似ているため、
「建築面積と床面積は何が違うのか」
「建築面積は屋根の面積なのか」
「庇やバルコニーも建築面積に含まれるのか」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
これらの面積は、建ぺい率や容積率、建築確認申請などにも関係する重要な数値です。
面積の意味や算定方法を間違えると、希望する大きさの建物を建てられなかったり、計画を修正しなければならなかったりする場合があります。
この記事では、建築面積の基本的な定義をはじめ、床面積・延べ面積・築造面積との違い、水平投影面積や区画の中心線の考え方について、わかりやすく解説します。
建築面積とは?

建築面積を簡単に表すと、建物を真上から見たときに、建物が敷地を覆っている部分の面積です。
イメージとして「上空から見た屋根の面積」と説明されることもあります。
しかし、これはあくまで分かりやすくするための表現であり、正確には屋根そのものの表面積を測るわけではありません。
建築基準法施行令では、建築面積を、原則として建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積として算定します。
地階で地盤面上1メートル以下にある部分などは、一定の条件により除かれます。
例えば、外壁の中心線で囲まれた部分が縦10メートル、横20メートルの長方形であれば、基本となる建築面積は次のようになります。
10メートル×20メートル=200平方メートル
ただし、建物に庇や軒、バルコニー、柱で支えられた屋外部分などがある場合は、形状や出幅によって建築面積への算入方法が変わります。
建築面積は建ぺい率に関係する

建築面積は、建築基準法第53条に定められている「建ぺい率」を計算するために使用します。
建ぺい率とは、敷地面積に対して、建物をどの程度まで建てられるかを示す割合です。
計算式は次のとおりです。
建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100
例えば、敷地面積が500平方メートル、建築面積が300平方メートルの場合、建ぺい率は60%です。
300平方メートル÷500平方メートル×100=60%
用途地域などによって建ぺい率の上限が定められているため、建築面積を正しく算定することは、建物の規模を決めるうえで非常に重要です。
特に工場や倉庫は、広い製造スペースや保管スペースが必要になることが多いため、土地を購入する前に、敷地面積と建ぺい率から建築可能な面積を確認しておく必要があります。
建築面積に算入される部分・されない部分

建築面積は、単純に建物の外形だけで判断できるとは限りません。
軒や庇、地下部分、柱のある空間などについては、それぞれ算定ルールがあります。
1メートルを超える軒や庇
軒や庇などが外壁または柱の中心線から1メートルを超えて突き出している場合は、原則として、その先端から1メートル後退した線までの部分が建築面積に算入されます。
例えば、外壁から庇が1.5メートル突き出している場合、先端から1メートルを除いた0.5メートル分が建築面積に加わるイメージです。
一方、突出し長さが1メートル以下の軒や庇は、原則として建築面積に算入されません。
ただし、庇の下に柱がある場合や、その部分が建築物として利用される場合などは、別の判断になることがあります。
壁がなくても柱で囲まれている部分
壁がない屋外空間でも、柱によって囲まれている部分は、建築面積に算入されることがあります。
例えば、柱で支えられた大きな屋根の下に、荷さばき場や駐車スペースを設ける場合です。
「壁がないから建築面積に入らない」とは限らないため、屋根と柱の位置、用途、構造などを確認する必要があります。
壁がなくても柱で囲まれている部分
地下室など、地階で地盤面上1メートル以下にある部分は、一定の条件により建築面積に算入されません。
ただし、地下室の一部が地盤面から大きく出ている場合や、敷地に高低差がある場合は、地盤面の設定を含めた専門的な判断が必要です。
壁がなくても柱で囲まれている部分

建築に関係する代表的な面積には、次の4種類があります。
1.建築面積:建築物が敷地を覆う部分の面積
2.床面積:各階の区画された部分の面積
3.延べ面積:各階の床面積の合計
4.築造面積:工作物の水平投影面積
それぞれの意味を確認していきましょう。
1.建築面積:建築物が敷地を覆う部分の面積
建築面積とは、原則として建築物の外壁、またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。
建物が敷地をどの程度覆っているかを表す面積であり、主に建ぺい率の算定に使用します。
平屋建ての場合、建築面積と床面積がほぼ同じになることもあります。
しかし、軒や庇、ピロティ、吹き抜け、屋外部分などがある場合は、建築面積と床面積が一致しないことがあります。
また、2階部分が1階より張り出している建物では、張り出している部分も含め、建物全体を真上から投影した形をもとに建築面積を算定します。
2.床面積:各階の区画された部分の面積
床面積とは、建築物の各階またはその一部で、壁、扉、シャッター、手すり、柱などの区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。
簡単に表すと、各階にある、建物の内部として利用する部分の面積です。
ただし、床があれば必ず床面積に算入されるわけではありません。
例えば、十分に外気に開放され、屋内的な用途に使用しないピロティは、床面積に算入されない場合があります。
ポーチも原則として床面積に算入されませんが、物品の保管など屋内的な用途に使用する場合は算入されることがあります。
バルコニーや吹きさらしの廊下、屋外階段などについても、開放性や形状、利用方法によって取扱いが異なります。
国土交通省の床面積の算定方法でも、壁の有無だけではなく、居住、執務、作業、物品の保管などの「屋内的用途」に使用するかどうかが判断基準として示されています。
3.延べ面積:各階の床面積の合計
延べ面積とは、建築物の各階の床面積を合計した面積です。
例えば、次のような2階建ての建物があるとします。
1階の床面積:300平方メートル
2階の床面積:200平方メートル
この場合の延べ面積は、500平方メートルです。
300平方メートル+200平方メートル=500平方メートル
ただし、「建物全体の延べ面積」と「容積率を計算するときの延べ面積」は、必ずしも同じではありません。
容積率を算定する際には、一定の条件を満たす駐車場や地下室、昇降機の昇降路、共同住宅の共用廊下などが、延べ面積から除外されることがあります。
そのため、図面や確認申請書には、一般的な延べ面積とは別に「容積率算定対象面積」が記載される場合があります。
4.築造面積:工作物の水平投影面積
築造面積とは、建築物ではなく、一定の工作物について使用される面積です。
原則として、工作物の水平投影面積によって算定します。
代表的なものとして、機械式駐車装置などがあります。
自動車車庫の用途に使用する工作物で、機械式駐車装置を使用するものについては、一定の算定方法が設けられており、駐車台数1台につき15平方メートルとして算定する取扱いがあります。
築造面積は、一般的な住宅や工場の建築面積とは異なるため、工作物の設置を計画する場合に確認が必要です。
水平投影面積とは?

建築面積や床面積の説明には、「水平投影面積」という言葉が繰り返し登場します。
水平投影面積とは、土地や建物を真上から水平面に投影したときの面積です。
例えば、傾斜した屋根の表面積をそのまま測ると、勾配がある分だけ面積が大きくなります。
しかし、建築面積では屋根の傾斜に沿った面積ではなく、真上から見た平面的な広さを測ります。
土地に斜面や高低差がある場合も、斜面に沿った実際の表面積ではなく、水平な平面に投影した面積を使用します。
建築基準法施行令では、敷地面積、建築面積、床面積などの算定に水平投影面積を使用することが定められています。
区画の中心線とは?

床面積や建築面積を計算するときは、一般的に壁の外側や内側ではなく、「中心線」を基準にします。
床面積の場合は、壁、扉、シャッター、手すり、柱など、空間を区画する部分の中心線で囲まれた範囲を測ります。
例えば、厚さ200ミリメートルの壁がある場合、原則として壁厚の中心となる位置を境界線として面積を算定します。
ただし、どこを中心線とするかは、建物の構造や外壁の構成によって異なります。
仕上げ材を含めた壁全体の中心ではなく、主要な構造部分や、区画を形成している部材を基準にする場合があります。
構造別に見る「区画の中心線」の考え方

木造・W造の場合
木造建築物では、基本的に主要な構造部材の中心を中心線として考えます。
軸組工法では、柱の中心が中心線になります。
枠組壁工法では、壁を構成する枠組材の中心が基準です。
丸太組工法では、壁を構成する丸太材などの中心を中心線とします。
ただし、外壁の構成や柱の配置が一般的な納まりと異なる場合は、設計図書をもとに個別に判断します。
鉄筋コンクリート造・RC造の場合
RC造では、原則として外壁の主要な構造躯体の中心を中心線とします。
外側にタイルや塗装などの外装仕上げがあり、内側に断熱材や内装材がある場合でも、通常は仕上げ材を含めた壁全体の中心ではなく、構造躯体となる鉄筋コンクリート部分の厚みの中心が基準です。
コンクリート打放し仕上げや、外側に打増し部分がある場合についても、構造上の躯体部分を確認して中心線を設定します。
PCa版などを使用する場合も、外壁を構成する主要な構造部分を確認して判断します。
鉄骨造・S造の場合
鉄骨造では、柱の外側に外壁パネルを取り付ける工法が多いため、必ずしも鉄骨柱の中心が床面積算定上の中心線になるとは限りません。
金属板やボードなどの薄い外壁材を胴縁に取り付ける場合は、柱、胴縁、外壁材の構成を確認し、実際に内部と外部を区画している壁体の中心線を判断します。
ALCパネルなど、一定の厚みを持つ外壁材を柱の外側に取り付ける場合は、外壁パネルの厚みの中心を中心線として取り扱うことがあります。
鉄骨造は外壁の納まりが多様なため、「鉄骨柱の中心」「胴縁の中心」「外壁材の中心」のどれを採用するかは、構造や外壁仕様によって異なります。
確認申請を行う際には、設計者や建築確認の審査機関と確認することが重要です。
建築面積を確認するときの注意点

建築面積は、建物の外形を測るだけで簡単に算定できるように見えます。しかし、実際には次のような条件によって判断が変わります。
・軒や庇の突出し長さ
・庇を支える柱の有無
・ピロティや荷さばき場の使い方
・バルコニーや屋外廊下の形状
・外壁や柱の中心線の位置
・地下部分と地盤面の関係
・外壁パネルや仕上げ材の構成
・増築部分と既存建物との関係
特に工場や倉庫では、大きな庇、トラックヤード、荷さばき場、屋外階段、設備置場などを計画することがあります。
これらは建築面積や床面積に算入される可能性があり、建ぺい率や容積率にも影響します。
計画の後半になって面積超過が判明すると、建物の配置や大きさを変更しなければならないこともあります。
まとめ

建築面積とは、原則として建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。
簡単に表すと、建物を真上から見たときに、敷地を覆っている部分の面積と考えると分かりやすいでしょう。
建築に関する代表的な面積は、次の4つに分けられます。
・建築面積は、建物が敷地を覆う部分の面積です。
・床面積は、各階で壁や柱などの区画の中心線に囲まれた部分の面積です。
・延べ面積は、各階の床面積を合計した面積です。
・築造面積は、一定の工作物を水平面に投影した面積です。
また、軒や庇、ピロティ、バルコニー、地下室などは、その形状や利用方法によって面積への算入方法が異なります。
土地探しや建物計画を進める際には、敷地面積や建ぺい率だけで判断せず、どの部分が建築面積や床面積に含まれるのかを早い段階で確認することが大切です。
特に工場や倉庫、事務所などの事業用建築物では、必要な作業スペースや荷さばき場、駐車場、設備スペースまで含めて計画し、設計者や建設会社、行政窓口などに相談しながら進めましょう。
※本記事は建築面積などの基本的な考え方を解説したものです。
実際の算定方法は建物の形状、構造、用途、外壁の納まり、自治体や確認審査機関の取扱いなどによって異なる場合があります。
具体的な建築計画については、建築士や管轄する行政機関、指定確認検査機関へご確認ください。

