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工場建設の用途地域における敷地について|土地探しで失敗しないための確認ポイント

作成日:2026.07.09 更新日:2026.07.09

工場建設の用途地域における敷地について|土地探しで確認すべきポイント

工場を建てるにあたり、まだ建設地が決まっていない場合は、まず土地探しから始めることになります。

しかし、工場はどこにでも自由に建てられるわけではありません。

建物には、住宅、店舗、事務所、倉庫、工場など、さまざまな用途があります。

もし静かな住宅地の中に大きな音や振動が発生する工場が建ってしまうと、住む人にとっては生活環境が悪くなります。

反対に、工場側にとっても、搬入車両の出入りや作業時間、騒音対策などに制約が多くなり、事業を進めにくくなる可能性があります。

そこで都市計画では、まち全体の住環境、商業活動、産業活動、交通、環境などのバランスを考えながら、地域ごとに建てられる建物の用途を定めています。

これが「用途地域」です。

用途地域を確認せずに土地を購入してしまうと、「せっかく土地を取得したのに、希望する工場が建てられない」という事態になることがあります。

工場建設では、土地の広さや価格だけでなく、用途地域の確認が非常に重要です。

用途地域とは

用途地域とは、都市計画法に基づいて定められる地域区分のことで、住居系、商業系、工業系など、市街地の大まかな土地利用の方向性を決めるものです。

現在の用途地域は、住居系、商業系、工業系を合わせて13種類あります。

従来は12種類とされていましたが、現在は「田園住居地域」が加わり、13種類となっています。

用途地域が定められることで、その地域に建てられる建物、建てられない建物、また建てられるとしても規模や用途に制限がある建物が決まります。

工場の場合も同じで、どの用途地域に該当するかによって、建築できる工場の種類や規模が変わります。

13種類の用途地域

用途地域は大きく分けると、住居系、商業系、工業系に分けられます。

住居系の用途地域には、

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域

があります。

商業系の用途地域には、

  • 近隣商業地域
  • 商業地域

があります。

工業系の用途地域には、

  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

があります。

工場建設を検討する場合、基本的にはこの工業系用途地域である「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」が候補になります。

ただし、工場の内容や作業場の床面積、危険性、騒音、振動、臭気などの有無によっては、工業系以外でも建築できる場合があります。

反対に、工業系であっても、すべての工場が無条件で建てられるわけではありません。

そのため、土地探しの段階では、用途地域の名前だけで判断するのではなく、どのような工場を建てるのか、どのような作業を行うのか、使用する機械や材料、搬入出の頻度なども含めて確認する必要があります。

住居系用途地域と工場建設

住居系用途地域は、基本的に住宅の環境を守るための地域です。

低層住宅を中心とした地域、中高層マンションが建つ地域、幹線道路沿いで店舗や事務所が混在する地域など、それぞれ特徴があります。

第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域は、低層住宅の良好な住環境を守るための地域です。

戸建て住宅や低層アパートが中心となるため、工場建設にはほとんど向きません。

第一種中高層住居専用地域や第二種中高層住居専用地域は、中高層住宅のための地域です。

病院、大学、一定規模までの店舗などは建てられますが、工場建設には制限があります。

第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域では、一定の店舗、事務所、ホテル、車庫、倉庫などが建てられる場合があります。

また、環境への影響が非常に少ない小規模な工場であれば、条件付きで建築できる可能性もあります。

ただし、住居系用途地域はあくまでも住環境を守ることが目的です。

騒音、振動、臭気、交通量の増加が予想される工場の場合、用途地域上の制限だけでなく、近隣への配慮や行政との協議が重要になります。

商業系用途地域と工場建設

商業系用途地域には、近隣商業地域と商業地域があります。

近隣商業地域は、近隣住民が日用品の買い物などをするための商業施設を中心とした地域です。

商店街や駅周辺、生活利便施設が集まるエリアに指定されることが多く、店舗、事務所、住宅、ホテル、一定の倉庫や小規模な工場などが建てられる場合があります。

商業地域は、商業や業務の利便を高めるための地域です。

駅前、繁華街、オフィス街などに指定されることが多く、百貨店、飲食店、事務所、ホテル、映画館など、幅広い用途の建物が建てられます。

ただし、商業系用途地域は商業活動や業務機能を重視する地域であり、本格的な工場建設に適しているとは限りません。

小規模な作業場や軽微な工場であれば可能な場合もありますが、作業場の床面積や作業内容によって制限を受けます。

工場としての使い勝手を考えると、トラックの出入り、荷さばきスペース、騒音対策、将来の増築計画なども必要になります。

商業地域では地価が高いことも多く、工場用地としてはコスト面で不利になる場合もあります。

準工業地域とは

準工業地域は、主に軽工業の工場やサービス施設などの利便を図る地域です。

工業系用途地域の中では、比較的幅広い用途の建物が建てられる地域です。

準工業地域では、工場のほか、住宅、店舗、事務所、飲食店、倉庫などが混在していることもあります。

中小規模の工場や倉庫、作業場、物流関連施設などを検討する場合、候補に入りやすい用途地域です。

ただし、準工業地域では、危険性が大きい工場や、著しく環境を悪化させるおそれのある工場は建てられません。

たとえば、大きな危険物を扱う工場や、周辺環境への影響が大きい施設については制限があります。

また、準工業地域は住宅や店舗が近くにあることも多いため、工場建設では近隣環境への配慮が欠かせません。

騒音、振動、臭気、粉じん、車両の出入りなどについて、計画段階から十分に検討する必要があります。

工業地域とは

工業地域は、工業の利便を図るための地域です。

準工業地域よりも工場向けの性格が強く、比較的大規模な工場や倉庫の建設を検討しやすい地域です。

工業地域では、住宅や店舗を建てることもできますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

これは、工場の操業環境を優先する地域であり、住居や教育、医療、宿泊などの用途には適さない場合があるためです。

工業地域では、トラックの出入りや機械音などが想定されるため、工場としての利便性は高い一方、住宅地としての快適性が優先される地域ではありません。

近年では、工場跡地にマンションが建設されるケースもありますが、用途地域の本来の目的は工業の利便を高めることにあります。

工場建設を行う場合には、工業地域は有力な候補になります。

ただし、周辺道路の幅員、搬入出経路、インフラ、排水、用途制限以外の条例なども確認する必要があります。

工業専用地域とは

工業専用地域は、工場のために指定される用途地域です。

工業系用途地域の中でも、最も工場に特化した地域といえます。

工業専用地域では、住宅、店舗、飲食店、学校、病院、ホテル、福祉施設などは原則として建てられません。

住宅が建てられない唯一の用途地域であり、住むための地域ではなく、工場の操業を優先する地域です。

大規模な工場、製造施設、コンビナート、重工業系の施設などは、工業専用地域に立地していることが多くあります。

海沿いや川沿い、港湾部など、物流や産業インフラと結びついた場所に指定されることも多い地域です。

工業専用地域は工場建設には適していますが、従業員の通勤利便性、周辺に店舗や飲食店が少ないこと、採用面での働きやすさなども考慮する必要があります。

工場を建てることだけでなく、そこで働く人や物流の動線まで含めて検討することが大切です。

敷地が複数の用途地域にまたがる場合

土地によっては、1つの敷地が2つ以上の用途地域にまたがっている場合があります。

このような場合、建築物の用途制限については、原則として敷地の過半が属する用途地域の制限が適用されます。

たとえば、1つの敷地のうち、過半が準工業地域に属していれば、用途制限については準工業地域の制限が適用されることになります。

ただし、建ぺい率や容積率などについては、面積按分で計算する場合があるため、用途制限だけで判断してはいけません。

用途地域の境界は、道路の中心線、道路境界線、都市計画道路の予定線、地番境界などを基準に定められていることがあります。

正確な位置を確認するためには、都市計画図、建築計画概要書、地積測量図、公図などを確認し、必要に応じて役所の都市計画担当窓口や建築指導課に相談することが重要です。

土地の購入前には、「おおよそ工業系だから大丈夫」と判断するのではなく、敷地全体のどの部分がどの用途地域に該当するのかを確認しておきましょう。

用途地域以外にも確認すべき制限

工場建設では、用途地域だけを確認すればよいわけではありません。

用途地域ごとに、

  • 建ぺい率
  • 容積率
  • 高さ制限
  • 道路斜線制限
  • 隣地斜線制限
  • 北側斜線制限
  • 日影規制

などの建築制限があります。

さらに、

  • 防火地域
  • 準防火地域
  • 地区計画
  • 特別用途地区
  • 景観条例
  • 開発許可
  • 農地転用
  • 排水規制
  • 騒音・振動規制
  • 危険物

に関する規制なども関係する場合があります。

また、工場の場合は、建物の大きさだけでなく、製造内容、使用する機械、原材料、危険物の有無、排水、排気、搬入出車両、操業時間などによって必要な確認事項が変わります。

土地探しの段階で、建築会社、設計者、不動産会社、行政窓口と連携しながら確認を進めることで、後から計画変更が必要になるリスクを減らすことができます。

まとめ

工場建設において、用途地域の確認は土地探しの最初の重要なポイントです。

工場を建てる場合、候補となりやすいのは、準工業地域、工業地域、工業専用地域です。

特に、工業地域と工業専用地域は工場の立地に適した地域ですが、それぞれ建てられる建物や周辺環境の特徴が異なります。

準工業地域は、比較的幅広い用途の建物が建てられる一方で、住宅や店舗が混在していることも多く、近隣環境への配慮が必要です。

工業地域は工場の利便を図る地域で、大規模な工場にも対応しやすい地域です。

工業専用地域は工場のための地域であり、住宅や店舗などは建てられません。

また、敷地が複数の用途地域にまたがる場合や、用途地域以外の建築制限が関係する場合もあります。

土地の価格や広さだけで判断せず、用途地域、道路条件、インフラ、周辺環境、将来の増築計画まで含めて確認することが大切です。

工場建設の土地探しでは、「その土地に工場が建てられるか」だけでなく、「その土地で事業を長く続けやすいか」という視点が欠かせません。

用途地域を正しく理解し、計画に合った土地を選ぶことが、工場建設を成功させる第一歩になります。

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