見えない部分がすごい!鉄骨の骨組みができるまで

建物が完成すると、私たちの目に入るのは外壁や屋根、内装などの仕上がった部分です。しかし、その建物を長く安全に支えているのは、完成後には見えなくなる「骨組み」です。
住宅や事務所、工場、倉庫など、どのような建物にも骨組みがあり、建物の強度や耐震性を確保するうえで重要な役割を担っています。
特に鉄骨造の建物では、工場で製作された鉄骨を建設現場に運び、柱や梁を一本ずつ組み立てていきます。その作業には高い技術力と正確な施工管理が欠かせません。
普段はなかなか見ることのできない建物の内部構造。
今回は、鉄骨の骨組みができるまでの流れや構造の違い、工事現場での安全対策について、わかりやすくご紹介します。
建築物ができるまで|骨組みが果たす重要な役割

建物が完成するまでには、設計者や現場監督、さまざまな専門分野の職人が関わっています。
建設工事というと、重機を使った作業や力仕事をイメージする方も多いかもしれません。
しかし実際には、設計図や施工図に基づいた緻密な計画と管理によって進められています。
一般的な建築工事の流れは、次のとおりです。
事前調査・設計:地盤調査や建物の設計、施工計画を行う
基礎工事:建物を支える基礎をつくる
骨組み工事:柱や梁などを組み立てる
屋根・外壁・床工事:建物の外側や各階の床をつくる
設備・内装工事:電気や空調、内装などを仕上げる
検査・完成:建物の品質や安全性を確認する
この中でも骨組み工事は、建物の形をつくる重要な工程です。
骨組みには、建物自体の重さだけでなく、建物を利用する人や設備などの重さ、地震や風による力を受け止め、基礎や地盤へ伝える役割があります。
そのため、建物の用途や規模に応じた適切な構造を選ぶことが大切です。
建物の骨組みにはどんな種類がある?

建物の骨組みには、使用する材料や構造によっていくつかの種類があります。
代表的なものが、木造・鉄骨造・RC造・SRC造の4つです。
木造|住宅などに広く使われる構造
木造は、柱や梁などに木材を使用する構造です。
古くから日本の建築に用いられており、現在でも戸建て住宅や低層建築物などで広く採用されています。
木材は比較的軽量で加工しやすく、断熱性にも優れていることが特徴です。
近年では木材の加工技術や接合技術が進歩し、中大規模の木造建築も増えています。
鉄骨造(S造)|工場・倉庫に適した構造
鉄骨造は、柱や梁などの主要な骨組みに鋼材を使用する構造です。
S造とも呼ばれ、Sは英語の「Steel(鋼)」を表しています。
鋼材は強度が高く、大きな空間を確保しやすいため、工場や倉庫、事務所、商業施設など幅広い建物に採用されています。
鉄骨は主に専門工場で加工・製作され、建設現場でボルトや溶接によって接合されます。
また、鉄骨造は一般的に使用する鋼材の厚さによって次のように分類されます。
重量鉄骨造:一般に厚さ6mm以上の鋼材を使用し、大規模な工場や倉庫、ビルなどに採用される
軽量鉄骨造:一般に厚さ6mm未満の鋼材を使用し、住宅や比較的小規模な建物などに採用される
ただし、建物の強度や耐震性は鋼材の厚さだけで決まるものではなく、建物全体の構造設計が重要になります。
RC造|鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造
RC造は「Reinforced Concrete」の略で、鉄筋コンクリート造のことです。
鉄筋を配置した型枠にコンクリートを流し込み、柱や梁、壁などを形成します。
コンクリートは圧縮される力に強く、鉄筋は引っ張られる力に強いという特徴があります。
それぞれの長所を組み合わせることで、耐久性や耐火性に優れた建物をつくることができます。
マンションや公共施設、病院などにも多く採用されています。
SRC造|鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた構造
SRC造は「Steel Reinforced Concrete」の略で、鉄骨鉄筋コンクリート造を意味します。
鉄骨の周囲に鉄筋を配置し、さらにコンクリートで一体化させた構造です。
鉄骨造とRC造の特徴を組み合わせることで、高い強度や耐震性能を確保しやすくなります。
主に中高層ビルや大規模建築物などで採用されますが、施工工程が複雑になるため、綿密な計画と品質管理が必要です。
鉄骨の骨組みができるまで|地下・基礎工事

鉄骨造の建物を建てる際、最初から鉄骨を組み立てるわけではありません。
まずは、建物を安全に支えるための地盤や基礎を整える必要があります。
地盤調査と杭工事|建物を支える土台づくり
建設工事では、建物を建てる土地の地盤がどの程度の重さに耐えられるかを調査します。
地盤の状態によっては、建物を支えるために「杭」を設置することがあります。
杭は、建物の重さやさまざまな力を地中に伝える役割を持っています。
地表付近の地盤が弱い場合には、より深い位置にある硬い地盤まで杭を到達させる方法などが採用されます。
ただし、すべての建物に杭が必要なわけではありません。地盤の強さや建物の規模に応じて、直接基礎や杭基礎などを選択します。
建物が完成してからでは確認しにくい部分だからこそ、事前の調査と確実な施工が重要なのです。
山留め工事|地下作業の安全を守る
基礎工事では、地面を掘削する作業が必要になることがあります。
しかし、地面を深く掘ると、周囲の土が崩れたり、地下水が流れ込んだりする危険があります。
そこで重要になるのが「山留め工事」です。
山留めとは、掘削した地盤の側面が崩れないように支えるための工事です。
地盤の状態や掘削する深さ、周辺環境などに応じて適切な工法を選びます。
山留め工事は、作業員の安全を守るだけでなく、周辺の道路や隣接する建物への影響を抑える役割も担っています。
こうした地下・基礎工事を経て、鉄骨を組み立てる準備が整います。
鉄骨の骨組みができるまで|地上での鉄骨建方

基礎工事が完了すると、いよいよ鉄骨を組み立てる「鉄骨建方(てっこつたてかた)」が始まります。
鉄骨建方は、柱や梁を組み上げ、建物の骨格を形づくる重要な工程です。
鉄骨の製作と搬入|工場での精度管理が重要
建物に使用する鉄骨は、あらかじめ専門の鉄骨製作工場で加工されます。
設計図や施工図に基づいて鋼材を切断・加工・溶接し、寸法や品質を検査します。
完成した鉄骨は、トラックなどで建設現場まで運ばれます。
現場では、組み立てる順番に合わせて鉄骨を搬入し、クレーンで吊り上げながら所定の位置に配置していきます。
特に敷地が限られている現場では、搬入のタイミングや鉄骨を置く場所まで細かく計画する必要があります。
鉄骨鳶が活躍!柱と梁を正確に組み立てる
鉄骨の組み立てで中心的な役割を担うのが「鉄骨鳶(てっこつとび)」です。
鉄骨鳶は、高所で柱や梁を組み立てる専門の職人です。
クレーンで吊り上げた鉄骨を誘導し、決められた位置に設置して、仮ボルトなどで固定します。
この段階では、柱の傾きや位置のずれを測定し、必要に応じて調整する「建入れ直し」を行います。
鉄骨の位置や垂直・水平の精度を確認した後、高力ボルトの本締めや、設計で指定された箇所の溶接などを行います。
鉄骨の接合方法は設計によって異なり、すべての接合部分でボルトと溶接の両方を使用するわけではありません。
こうした工程を一つずつ確実に進めることで、建物の骨組みが完成していきます。
SRC造では鉄筋とコンクリートの施工も行う
鉄骨造の中でも、SRC造では鉄骨建方に加えて鉄筋やコンクリートの工事が必要です。
一般的な施工の流れは次のとおりです。
鉄骨を所定の位置に組み立てる
鉄骨の周囲に鉄筋を配置する
コンクリートを流し込むための型枠を設置する
型枠内に生コンクリートを打ち込む
適切な養生を行い、必要な強度を確認する
所定の条件を満たした後、型枠を取り外す
コンクリート工事では、打込みから養生までの温度や時間の管理が欠かせません。
また、コンクリートの強度は時間の経過とともに発現するため、必要な強度や施工条件に応じて適切に管理します。
なお、一般的なS造では、柱や梁をすべてコンクリートで覆うわけではありません。SRC造とは施工方法が異なります。
鉄骨工事で大切な安全対策とは?

鉄骨建方では、大きく重い鋼材をクレーンで吊り上げたり、高所で組み立てたりするため、常に安全への配慮が必要です。
建設現場では、作業員一人ひとりの注意だけに頼らず、設備やルールによって事故を防ぐ取り組みが行われています。
安全標語や警告表示で危険を見える化
建設現場では、安全目標や安全標語を掲示し、作業員の安全意識を高めています。
朝礼では、その日の作業内容や危険箇所を共有することも重要です。
また、危険な場所を視覚的にわかりやすくするため、警告色を使用します。
例えば、立入禁止区域にはカラーコーンやバリケードを設置し、段差や障害物には黄色と黒色の警告表示を行うことがあります。
誰が見ても危険な場所がわかるようにすることが、事故防止につながります。
安全ネットや手すりで墜落・落下を防ぐ
高所での作業が多い鉄骨工事では、墜落・落下事故への対策が特に重要です。
作業場所や工事の状況に応じて、足場や作業床、手すり、安全ネットなどを設置します。
また、床の開口部には覆いや手すりなどを設け、作業員が誤って転落しないように対策を行います。
高所作業では、必要に応じてフルハーネス型墜落制止用器具なども使用します。
さらに、工具や資材の落下によって地上の作業員が危険にさらされないよう、作業区域の管理も徹底します。
ヘルメットの着用と声掛けを徹底
建設現場の安全対策として基本になるのが、保護帽(ヘルメット)の適切な着用です。
作業内容や危険性に応じた保護具を使用し、作業前には点検を行います。
また、作業員同士の声掛けや合図も重要です。
特にクレーン作業では、決められた合図を守り、吊り荷の下に人が入らないようにするなど、周囲との連携が欠かせません。
現場を訪れる見学者にも、入場前に注意事項を伝え、安全な見学ルートを確保します。
安全な現場は、一人ひとりの意識と、事故を防ぐための仕組みによってつくられています。
まとめ|建物を支える鉄骨の骨組みは見えない部分こそ重要

今回は、建物の骨組みの種類や、鉄骨の骨組みが完成するまでの工程、安全対策についてご紹介しました。
建物の骨組みは、完成後には屋根や外壁、内装などに隠れてしまい、普段は見ることができません。
しかし、その見えない部分には、地盤調査から基礎工事、鉄骨製作、建方、接合、検査まで、多くの工程と専門技術が詰まっています。
また、工場や倉庫などの大規模建築物では、建物の用途や設備、必要な空間に合わせた構造計画が重要になります。
骨組みの精度や品質を確保するためには、設計者、現場監督、鉄骨製作工場、鉄骨鳶など、さまざまな専門家の協力が欠かせません。
丸ヨ建設では、工場・倉庫をはじめ、事務所や医療施設など、さまざまな建築工事に取り組んでいます。
完成後には見えなくなる部分だからこそ、一つひとつの工程を大切にし、安全と品質に配慮した建物づくりを進めています。
建物の本当の強さは、見えない骨組みから生まれています。
これから工場や倉庫の新築・増築をご検討される方は、ぜひ建物を支える骨組みにも注目してみてください。

